本校の土方です。

 今年の関東地方の梅雨入りは6月7日頃とのこと、関西もほぼ同じ。昨年よりだいぶ早いようです。
私は「梅雨」と聞くと、条件反射的にカタツムリを思い出してしまうのですが、一昨年の梅雨にブログを担当した際、近年カタツムリの数が減ってきているということを書きました。

 その後もこのことは気になっていて、昨年の梅雨も、それとなく探してみましたが、うちの庭には1匹も見当たらず、近くの公園などでやっと数匹見つけて安堵した次第でした。やはり、いなくなってきているな、というのが実感でした。

 ネットで調べてみたら、カタツムリの減少は進行中で、特に近畿地方が深刻というのも、ブログを書いたときと同様でした。ある記事によれば日本にいる約800種のカタツムリのうち、近畿地方には200種が生息しているが、その半数が絶滅の恐れがあるとのことでした。ブログに書いておいてこんなことを言うのなんですが、正直カタツムリはあまり好きな生き物ではないのですが、とはいえ、いなくなられては、さみしい。

 それだけではない。かたつむりが消える、ということは、自然界の食物連鎖の中で、カタツムリを捕食したり、また、生態系の中でカタツムリに何らのかたちで依存している生き物もその存在が危ぶまれている、ということです。そこで、思い出した生き物がいます。

 オサムシという虫がいます。オサムシに属する虫にはゴミムシと呼ばれるものもあり、また生き物の屍肉を食べたりもするので、あまり良いイメージをもつ虫ではありません。ですが、綺麗な光沢を持つ甲虫なので、昆虫採集家のコレクションの対象になることも多いと聞きます。写真を見ていただけばわかるように、ユニークな姿もこの虫の魅力なのでしょう。

 このオサムシの中にはマイマイカブリ(蝸牛被)と呼ばれる種類があり、カタツムリを捕食して生きています。子供の頃、夏休みにカブトムシやクワガタムシを取りに早朝雑木林に行くと、この虫をよく見つけました。庭や空き地でもカタツムリの殻の中に頭を突っ込んでカタツムリを食べている姿をよく見かけましたし、マイマイカブリに綺麗に食われた後の白く乾燥した貝殻を拾ったりもしました。

 このオサムシが、『鉄腕アトム』、『ブラック・ジャック』、『火の鳥」といった傑作を残した漫画家手塚治虫先生のペンネームの由来になっていることは皆さんご存じでしょうか?

 手塚先生は少年の頃、昆虫採集に熱心で、虫の細緻なデッサンや水彩画も残しています。真偽のほどはわかりませんが、背に赤い斑点がある甲虫を描いたとき、赤の色合いに納得がいかず、自らの指を切り、血を混ぜて描いたというエピソードをどこかで読んだ記憶があります。手塚先生の本名は「治」、それに虫をつけて「治虫」としたわけですが、「おさむし」と呼ばせたかったのではないでしょうか。

 カタツムリがこのまま減少していけば、いずれ、オサムシの一つであるマイマイカブリにも累が及ぶことはいうまでもないことでしょう。今のところ、この虫が減少して、生存が危惧されるというニュースは見聞してはいませんが、私と同様に懸念している人は少なくないと思います。

 私たちの生活圏で、小さな生き物たちの生態が変化している。小さな、目立たない変化が少しずつ進んでいる。それには地球温暖化が影響していることは言うまでもない。その中でカタツムリのように衰退するものもあれば、勿論それとは反対に栄えるものもある。

 後者の例として、昨年ブログで、ワカケホンセイインコとガビチョウについて書いたことがありました。この2つの鳥についてのその後の報告です。

 まずはワカケホンセンインコから。

 昨年6月の日体大の世田谷キャンパスのオープンキャンパスに行った際、キャンパス周辺にこのインコの群れがいるのを発見しました。東京都内でもインド南部やスリランカ原産の外来種であるこの鳥が繁殖していることをブログに書きました。ところによっては1000羽を超える群れも目撃されているそうなのですが、世田谷キャンパス周辺以外で目にすることはその後一度もありませんでした。

 今月半ばの休日、小田急線豪徳寺駅を数年ぶりに降りました。夕飯のおかずを買いに寄ったのですが、降りて驚きです。外国人観光客がえらくたくさんいる。これまで外国人観光客など殆どいなかったのに…。こりゃどうしたことか!インバウンドの影響がここまで来たか…。でもどうして?

 外国人観光客の多くが向かっていのは、豪徳寺がある方向…。通りを歩く人の比率は外国人と日本人で半々?印象としてはもっと多く感じました。とにかくガイジンさんばかり。猫好きは国を問わず多いから、目的は招き猫か?…。帰宅後ネットで調べたら、豪徳寺は今や外国人観光客、特に猫好きの方たちの超人気スポットになっているとわかりました。世田谷線には「招き猫電車」も走っているとか。

 用を済ませたら久しぶりに駅前を散策しようと思っていたのですが、ガイジンさんの群れに圧倒され、やむなく撤退しようとしたとき、中空をぱっと緑色の鳥影がかすめました。見るとワカケホンセンインコが2羽電線に。このインコを目撃した2例はどちらも世田谷区。都内でも緑が豊かな地域ですから繁殖しやすいのでしょう。このインコを見つけたことでまあ満足し、帰路につきました。

 ついでガビチョウです。

 私の自宅周辺では、昨年以上に大きな声でピーヒャラピーヒャラ鳴きまくり、時にはその声で目が覚めてしまうこともあるほど。間違いなく増えている。ただ、私はガビチョウの声が気にならない。あの珍妙な鳴き声をちょっとうるさいなとは思いつつも「楽しい」って感じてしまうので、朝起こされてもあんまり嫌な気はしない。ただ、そのせいでウグイスの声がかき消されてしまうのが残念なのですが。

 鳥の声と言えば、この4月終わり頃からでしょうか、深夜目を覚ますと、ホーホーという声がかすかながら、確かに聞こえてくるようになりました。フクロウが住宅街周辺の林や丘へ降りてきている。心を鎮め、眠りへ、意識の底へと引き込むかのようなフクロウの声は聞いていて気持ちが安らぎます。ただ、窓の外から聞こえてくるフクロウの鳴き声は、以前旅先の自然豊かな環境の中で聞いた声よりもテンポが速く、落ち着きがないように感じられます。馴れない土地では、ギリシア・ローマ、北欧神話などで智慧のシンボルとされるこの鳥も不安を感じて当然でしょう。落ち着きなく頭を回しながら鳴いているのでしょうか。

追記)
 5月29日のことです。
ブログのおおよその内容を決めたあと、夕食の買い物に駅前へ向っている途中、細い道の向こうから見慣れない動物が歩いてくる。タヌキか?いやタヌキより小さい。ハクビシンか?前足が後足より短めで、ハクビシンにしては動きが鈍い。顔が三角、尻尾が縞々。
なんとアライグマ!鎌倉で数年前に見て以来で、地元では初遭遇。日本ではアニメ『あらいぐまラスカル』で知名度を得、かわいいイメージが定着していますが、日本における農作物への被害を見ると、ラスカルたちの実態はちっとも可愛くない。まあ持ち込んで、野放しにした人間が一番悪いんですが…。

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