
本校の土方です。
3月になりました。
タイシンの校舎が初台駅近くから幡ヶ谷へ移ってまもなく一年になります。ですが、まだ幡ヶ谷という町についてあまりよく知りません。昼食に毎日手作りのお弁当を持ってきているため、外食をしに出ることがほとんどなく、校舎周辺地域を散策していないのが原因です。
「幡」という字がつく町は、八幡信仰や源氏と縁がある町が多いと聞いたことがあります。八幡信仰とは、応神天皇を主神とする八幡神を武運の神として崇め、源氏武士の台頭とともに全国に広がった主要な神道信仰の一つです。源氏といえばやはり鎌倉鶴岡「八幡」宮ですよね。幡ヶ谷という土地には八幡信仰や源氏とのつながりがあるのかと思って調べてみました。
幡ケ谷という名の由来は、平安時代後期、源義家(1039~1106年)が東北地方の陸奥・出羽を舞台とした「後三年の役」(1083~1087年)から帰る途中に、この地にあった池で源氏の旗印である白旗を洗い、傍らにあった檜に掲げて祝宴を行ったという伝説に由来するそうです。義家が旗を洗った池は旗洗池、または洗旗池とも呼ばれようになりました。
「後三年の役」とは、「前九年の役」で勢力を伸ばした清原氏の内紛に陸奥守の源義家が介入し、清原清衡(のちに藤原姓を名乗り、奥州藤原氏の祖となる人物)を助けて清原家衡・武衡を滅ぼした戦いのことです。源義家は「八幡太郎」の通称でも知られ、後に鎌倉幕府を開いた源頼朝の曽祖父であり、また室町幕府を開いた足利尊氏の祖先にも当たる人物です。
この義家には面白いエピソードがあります。なんでも義家が日本における納豆の発見者だというのです。後三年の役の陣中で、馬の飼料として煮た大豆を藁に包んで運んだところ、自然発酵して納豆になったということなのですが、史実かどうかはわかりませんが、岩手県横手市の金沢公園には納豆発祥の石碑まであるそうです。
旗洗池は現在の渋谷区本町付近の窪地にあった60平方メートルほどの湧水池で、近くを流れていた神田川に注いでいたそうですが、1963年(昭和38年)に埋め立てられてしまいました。義家が洗ったとされる旗は現在の渋谷区渋谷にある金王(こんのう)八幡宮の社宝になったと言われているそうなのですが、実は金王さんは、私の母方の(曽)祖父母が眠るお寺の近くにあり、毎年お参りする神社なので、今度しっかり見てこようと思っています。
幼い時からお参りしてきた金王さんですが、詳しいことは何も知らないことに気づきました。そこで、調べてみると、寛治6年(1092)に河崎基家によって創建されました。基家は後三年の役で義家に従って軍功を立て、武蔵国谷盛庄(現在の渋谷周辺)を与えられました。義家は、基家が信仰していた八幡神の加護によって勝利したと考え、基家の所領内に八幡宮を勧請したと伝えられていますが、これが後の金王八幡宮です。基家の子・渋谷重家は堀河天皇から「渋谷」の姓を賜り、渋谷氏の祖となりますが、これが「渋谷」という地名の由来と言われています。重家は八幡神に祈願し、男子を授かりますが、息子には「金剛夜叉明王」の「金」と「王」の文字をとって「金王丸」と名付けました。この渋谷金王丸常光が「金王八幡」という神社名の由来だと言われています。渋谷金王丸にまつわる伝説は数多く、地元渋谷で愛されているだけでなく、毎年多くの参拝客が訪れているようです。
さて、幡ヶ谷の地名の由来になった池の跡地は、現在の住所でいうと、渋谷区本町1-9-17で、現在そこに石碑が立っていると知りました。タイシン本校校舎から歩いて約15分、初台駅からは約5分のところです。休みを利用し、幡ヶ谷周辺の散策も兼ねて、旗洗池を訪ねてみることにしました。
幡ヶ谷から新宿に向かって甲州街道を進み、初台駅まであともう少しというところにカシオ計算機の本社の高層ビルが立っています。その裏手に「洗旗荘」というマンション(高知新聞社社宅)があり、その前の植え込みに石碑と渋谷区が設置した説明板が立っていました。碑文の揮毫は旧日本帝国海軍大将東郷平八郎によるもので、1906年(明治39年)東郷が池を訪れた際に残したものとされています。

写真では見えにくいかもしれませんが、碑文には「洗旗池 丙午四月遊小笠原邸書 海軍大将東郷平八郎」とあります。この石碑は、私のように幡ヶ谷の地名の所縁を知りたいと思う人だけでなく、源義家と東郷平八郎という、中世と近代の2人の「戦」の英雄に関心をもつ人たちが訪れる場所になっているようです。(東郷平八郎といえば、渋谷の神宮前に東郷神社がありますね。)
「戦」といえば、数日前国立大学の2次試験という大きな「戦」が終わりました。源義家と東郷平八郎にまつわるこの旗洗池の石碑に合格祈願したら御利益があるかと思い、手を合わせて来ました。石碑のある場所から程近くに幡ヶ谷不動尊(創建1561年)があるので、そちらにも足を延ばして、お参りして来ました。3月初めには私立大学の後期試験もありますので、もちろん、その祈願も忘れずに、です。

3月2日から新高3生の授業が始まります!
受験において総合型選抜の比重が年々高くなっています。早い時期から少しずつ準備を進めておくことが「戦」に勝つための大きなポイントです。




