こんにちは、皆さん。
タイシン英語科の平井です。

残暑厳しいですが、まもなく秋になります。「スポーツの秋」は、皆さんなら当たり前でしょうが、「食欲の秋」ではなく「読書の秋」してますか?
総合型選抜や学校推薦型選抜では、小論文を書かないといけませんよね。筑波も論述試験があります。文章書けますか?文はいきなり書こうとしても書けません。インプットなくして、アウトプットできませんよね。また、インプットしておくと、面接の際の答え方にも役に立つのですよ。というわけで、皆さん、「読書の秋」しましょうよ。

実際、去年のタイシン生で、小学校の先生を希望していた人に、「今時の小学生を上手に描いてある作品があるから、読んでみる?」と数冊紹介したら、試験までに全冊読破した人がいます。そして面接試験では、読んだ本の内容も触れながら応答し、なんと面接は満点でした。
昨年のブログ(2025年8月4日)では推理小説を中心に、そして一昨年(2024年7月8日)ではスポーツ小説を紹介しましたので、今回は違うジャンルを紹介しますね。

1.学園もの(児童文学かな?)

先に書いた、小学校の先生を目指す、面接試験満点の受験生に紹介したものです。

① 「川床にえくぼが三つ」 にしがききょうこ

中学2年の文音は、夏休みに親戚のお姉さんに連れられて、インドネシアの発掘現場へ行った。初めての海外生活。いろいろトラブルがあったが、ある日発掘現場で何かを見つける。文化の違いや、友情、そして冒険。多様性や人間関係など、小中学生には絶対読んで欲しい内容だ。

② 「劇団6年2組」 吉野万里子

小学校の卒業式を前にして、クラスの発表会が行われることになった。立樹は団体鑑賞で観た「その後のシンデレラ」に感動し、「シンデレラ」をやりたいのだが、「誰でも知ってるものやってもつまらない」「家族が見に来るのに、継母の役はいや」と、なかなかまとまらない。そこで・・・。
私は小学生の頃からクラス演劇をやるときに、一部シナリオを変えた方がいいな、と思ったことが何度もある。しかしいつも周囲は「変えてはいけない」の一点張り。この長年の疑問が一瞬にして解決したのがこの作品。教員を目指す人は、ぜひ読んで欲しい。そして演者も、見ている人にも、心に残るクラス演劇を作って欲しい。

③ 「りぼん」 草野たき

亜樹の所属する卓球部では、卒業式に先輩からリボンを受け取ることが伝統だった。ただし、強い先輩より、彼氏のいる先輩の方が、人気があるのだから、部活動としてはおちゃらけなのだろう。抽選の結果、亜樹は、試合でも勝てないし、彼氏もいない地味な先輩に当たってしまう。しかも、卒業式の日、その先輩はリボンをくれなかった・・・。
友情、部活、夢、そして恋。15歳の日常を見事に描いている作品です。

④ 「僕とあいつのトライアル」 川上途行

売れない駆け出し芸人の正哉は、もう芸人としてはやっていけないかな、と落ち込んでいた。そんなとき出会った小学校三年生のタカシ。正哉はタカシのお笑いのセンスの良さに惚れ込み、コンビを組もうと申し出る。そして・・・。
途中に挿入される漫才ネタは、めちゃくちゃ面白い。それでいて二人の成長していく姿も微笑ましい傑作です。

⑤ 「さくらいろの季節」 蒼沼洋人

タイトルとは大違いの、学級崩壊で、荒れまくっているクラスの物語。いじめがひどくなり、最後は大変なことに・・・。低学年の時は、みんな仲が良かったのに、高学年になるとどうしてグループに分かれてしまうのだろう。小学校の先生を目指す人は、ぜひ読んで、解決策を考えて欲しい。④とは真逆の重い話である。

⑥ 「スイマー」 高田由紀子

航は小学校6年生。東京の強豪スイミングクラブの有望選手だったが、ある日挫折。水泳から遠ざかっていた。ところが引っ越してきた佐渡で出会った同級生が、またしても水泳部。何も知らない彼らは当然のように航を水泳部に誘ってくる・・・。こうなると、当然クライマックスは、全国大会で田舎の水泳部の航たちと、東京の強豪スイミングクラブとの戦いになるのは見え見えだが、では結末は?

高校生を題材にしたものは、昨年も紹介した「桐島、部活やめるってよ」 朝井リョウ「ロックよ、静かに流れよ」 吉岡紗千子 かな。両方とも映画化されていて、「桐島・・・」の方は最悪の映画だったが、「ロックよ・・・」の方は、映画のできも良かった。当時のアイドルグループ「男闘呼組」が主演で、ロックに対する偏見から、コンサートをさせてもらえない主人公たちが、なんとかコンサートにたどり着くまでを描いている。機会があれば、ぜひ観て欲しい。

2.歴史小説

日本史の勉強にも役に立ちそうだが、歴史小説とは、実際にいろいろと資料を調べて、史実を基にして、歴史上の人物が、このような行動や言動をしただろうな、と小説の中で蘇らせるせるもの。その第一人者は 司馬遼太郎 である。では、司馬作品を紹介しよう。

第1位「国盗り物語」

油売りから一国一城の主にまで上り詰めたとされていた斎藤道三だが、最近の研究で城主になったのは息子で、親子二代の国盗りだったことが分かってしまった。というわけで、前半の道三編は全くのウソになってしまうのだが、文庫本全4巻の後半、第3巻からの織田信長編が秀逸。道三の弟子ともいえる織田信長と明智光秀を中心に、農民からのし上がった秀吉を絡めて、天下取りの物語を描いている。信長、光秀、秀吉、それぞれに特色のあるキャラクターに加え、いつも光の当たるところにいる信長の妻濃姫、いつも日陰で支えている光秀の薄幸の妻槇、いつも陽気な秀吉の妻寧々、と対照的な三人の女性の描き分けも見事だ。クライマックスはもちろん本能寺。本能寺の変前日、連歌の会で、光秀が発句の五七五を詠む。

「時は今 あめがしたしる 五月かな」

表面の意味は、「今は5月、雨がよく降るなあ」。しかし隠された意味は、時は土岐氏。道三に滅ぼされたが、美濃の本流で、光秀には土岐氏の血が流れている。あめは「天」、したしるは「下」。つまり道三の流れをくむ信長を討ち、土岐本流の私光秀が今天下を取る、と宣言したわけだ。
次の詠み手は表面の意味だけをとり七七と受けたが、その次は光秀の連歌の師匠。五七五で、

「花落ちる 流れの末を せき止めて」

師匠は、光秀が信長の下で苦しんでいるのをよく知っている。それでも「謀反はやめろ!」という師匠の必死の思いが伝わってくる。この後、光秀は愛宕神社で必勝祈願をするが、おみくじは三度引いて、三度とも「凶」だったと伝わる。師匠も、神も止めたのに…。NHK大河ドラマにもなった(信長が高橋英樹、光秀は近藤正臣、秀吉が火野正平で、師匠は西村晃だった)。

第2位 「新選組血風録」

沖田総司が美少年、というイメージは、この作品をテレビ化した時に焼き付いたもの。結束信二脚本の1965年のものだ。先ごろ亡くなった栗塚旭演ずる土方歳三が抜群である。原作は司馬遼太郎の短編集で、近藤勇の愛刀「虎徹」の話や、新選組の旗の話、芹沢鴨暗殺の話、山南敬助脱退の話(これに沖田の淡い恋の話が絡んでこの回は見事)など新選組のメンバーの話だ。
 結束信二の脚本集も出ているが(この脚本がすごくいい!)、古いものなので、ネットか古本で探してください。Youtubeの公式チャンネルで第1話と第2話を見ることもできる。

第3位 「関ケ原」

徳川家康と石田三成の関ケ原。当然、三成側から描く方がドラマになるよね。正義の三成と、悪をも飲み込む家康の闘い。勝負は初めから分かっているが、それでも親友の大谷刑部は三成側につき、東軍をあわやまで押し込んでしまう。その時、西軍の小早川秀秋率いる大部隊が大谷軍へ襲いかかった…。その他のエピソードでは、口先三寸で土佐一国を手にした山内一豊のエピソードが印象的。こんな男が土佐藩を収めていたのだから、幕末、土佐藩から徳川へ反逆の狼煙があがるのもうなずける。(三成を加藤剛、家康を森繁久彌でテレビ化)
その幕末の土佐藩の話だと、坂本龍馬を描く「竜馬がゆく」が司馬遼太郎の名作とされるが、あまりに長い(文庫本1冊が430ページで全8巻)ので、いつも挫折してしまう。過去3回挫折し、4回目は最後まで読んだが、ストーリーが消えている…。またチャレンジするか。

3.時代小説

歴史小説とは違い、時代を借りるだけで、登場人物が自由に動き回るのが時代小説。テレビの「必殺!」や「水戸黄門」をイメージしてもらえばいい。こちらの第一人者は池波正太郎
三大シリーズが有名で、コンビニに劇画が売ってあるのを見た人もいるだろう。

①鬼平犯科帳

実在の人物である火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳。主に短編集で、全25巻(番外1巻含む)からなるが、1巻と2巻はつまらないので、3巻から読み始めるのをお薦めする。つまり3巻あたりから、長谷川平蔵、部下の同心佐嶋忠介、小柳安五郎、沢田小平次、木村忠吾、密偵の小房の粂八、相模の彦十、大滝の五郎蔵、おまさ、船形の宗平、伊三次、そしてお熊ばあさんといった登場人物が、自分の役割を知り、独り歩きしだしたのだろう。なお最終の24巻は未完で終わっているので消化不良。23巻までで終えるのがいいでしょう。
劇画版では、今は亡き久保田千太郎が脚本を担当している作品が、深みがあっていい。ちなみにこの久保田千太郎は、中国の歴史物語の「史書」も漫画化しており、「李陵」「項羽と劉邦」「呉越燃ゆ」の3作は、読み応え十分だ(漢文と世界史の役にも立ちそう)。

②剣客商売

老中田沼意次の時代。金儲けばかりを考える世の中で、剣に生きる無外流秋山小兵衛を主人公に、金儲けに走る醜い武士の心を正すストーリーだ。番外編含めて全20巻だが、番外の4巻全部と最終巻の第15巻の計5冊がはずれ。第1巻から第14巻までが、心温まるストーリーのオンパレードだ。この14冊をお薦めする。田沼意次も悪者には描かれていない。

③仕掛人・藤枝梅安

テレビの「必殺!」シリーズの原点となったもの。表では、腕のいい鍼医者として評判の藤枝梅安が、裏では元締めから依頼のあった仕掛け(殺し)を行うもの。全7巻だが、最終の「梅安冬時雨」は、筆者死去による未完になっているので、読むのなら6巻までがいいだろう。仕掛けを依頼する人を「起こり」といい、そこから依頼を引き受け、仕掛け人との仲介をするのを「蔓」という、とまさに本当にあったかの如く話が進むが、これは筆者の造語。インタビューで「それくらい思いつかないと、時代小説を書く資格はありませんよ」と答えておられた。コンビニで売られている劇画の方が、内容は濃い。

4.SF小説

現在と過去を舞台にしたので、最後はSF。未来を舞台にしましょう。

①アルジャーノンに花束を ダニエル・キイス

パン屋で働きながら精神薄弱学校へ通うチャーリー。賢くなりたいという強い意志はあるものの、なかなか身につかない。このことを知ったチャーリーの担任アリス先生は、大学の脳外科で、脳細胞を活性化させる手術の被験者にチャーリーを推薦する。手術を受けて頭が良くなっていくチャーリー。しかし、その結果、人間関係のしがらみや恋愛、不正や嫉妬心など、今までなら知らなかったこともわかってくる。先にその脳外科手術を受けていたのは、アルジャーノンというネズミ。ネズミなのに、人間を上回る知能を持っていた。が、ある日、知能が急速に低下する。「この同じことが、いずれ僕にも起こるのか…」。愕然となったチャーリーは、今、世界で一番賢い頭脳で、解決策を探るが…。
テレビ化もされているし、映画にもなっている(しかし映画は劣悪!)が、それよりも舞台化されたのが良かった(牛山茂主演の劇団昴で上演された)。その脚本をもとに、私が高校で担任したクラスで上演し、最優秀賞を取ったこともある作品だ。
できれば、英語の原版でも呼んでみて欲しい。すごい発見があるはず。

②スタートレック ジェイムズ・ブリッシュ(原案:ジーン・ロッテンベリー)

もともとはテレビシリーズ(日本では「宇宙大作戦」と名付けられていた)。惑星連邦の航宙艦エンタープライズ号を舞台に、カーク艦長、副長のミスタースポック(地球人とバルカン人のハーフ)、スコット機関長にドクターマッコイらが活躍する。映画は、ここにあげたオリジナルシリーズのメンバーで6作品(良いのは2,4,6の偶数のもの。奇数回ははずれで、ワーストは5)。映画の「スタートレック2 ~カーンの逆襲~」は、DVDでぜひ観て欲しいな。ノベライズもされている。またテレビシリーズのノベライズも出ている。その後、ピカード艦長のシリーズや、ディープスペースナインなど、テレビや映画で続々と続編が出ているが(今年がシリーズ60周年で、また新作も出るらしい)、私のお気に入りはこのオリジナルシリーズだ。テレビシリーズでのお気に入り作品は…

第1位「永遠の淵に立つ都市」(テレビのタイトルは「危険な過去への旅」):ハヤカワ文庫「宇宙大作戦 謎の精神寄生体」に収録

ドクターマッコイが誤って劇薬を自分に使い、錯乱状態のまま、「歴史の門」へ飛び込んでしまう。すると歴史が変わってしまった。カーク艦長とミスタースポックも、歴史を元に戻すためにドクターマッコイを追って「歴史の門」へ飛び込む。すると、時代は第2次世界大戦前夜のアメリカの下町。歴史を元に戻そうと紛争するカークたちは、この下町で貧しい人たちを支える平和運動家エディス・キーラーに出会い、崇高な精神にカークは心惹かれる。が、彼女こそが歴史のキーパーソンだった。歴史はどう変わったのか?そして元に戻すには…。
まさかのラストは衝撃的。ぜひ(レンタルでいいから)映像で観て欲しい。

第2位「ふたりのカーク」:ハヤカワ文庫「宇宙大作戦 見えざる破壊者」に収録

とある惑星を探査していたエンタープライズ号。その惑星にある鉱石を転送したところ、転送装置に故障が起こり、一人の人間が「善」の面と「悪」の面の二つに分かれて、送られてきた。つまり「善」のカーク艦長と「悪」のカーク艦長の二人の艦長になってしまった。エンタープライズ号艦内は大混乱。果たして…。テレビでは一人二役のカーク艦長役のウィリアム・シャトナーの名演は息をのむ。

第3位「アーマゲドン(ハルマゲドン)」(テレビのタイトルは「コンピュータ戦争」):ハヤカワ文庫「宇宙大作戦 謎の精神寄生体」に収録

カーク艦長は、ある恒星系の第7番惑星エミニアと外交ルートを開くため、フォックス大使を連れてやってきた。しかしエミニアは第3番惑星ベンディカー相手に500年以上も戦争を続けているという。しかも、ベンディカーの攻撃でエンタープライズ号も破壊されたとのこと。ここでミスタースポックは気づく。「キャプテン、コンピューターです。コンピューターを使って、戦争しているのです」。エミニアの指導者アナン7世は、相手との協定を守るために、エンタープライズ号を破壊し、乗組員も人体分解質へ出頭するよう要請する。さあ、どうする、カーク艦長…。
この作品は、私が高校の教員だった時舞台化して、私の担任の学年の『卒業生を送る夕べ』で、教員劇として上演した作品でもある。ちなみに私はカーク艦長を演じた。
これ以外にも、名作は多いですよ。古い作品なので、古本屋(や中古ビデオ店)で探しましょう!

③銀河英雄伝説 田中芳樹

日本のSF作品の中で、この作品が最高だと私は思う(アニメ化もされている)。超能力、戦闘用ロボット、アンドロイドといったものは出てこない。きわめてリアルに描いているが、舞台は大宇宙なのだ。ファンに言わすと「だまされたと思って、3巻まで読んでくれ」(全14巻:本編10巻+外伝4巻)というのが、きめ台詞らしい。確かに、全10巻?とハードルが高そうで、なかなか私も手が出なかったのだが、宝塚ホテルに家族で泊まりに行ったとき、部屋のテレビで宝塚歌劇作品が見放題だった。「ベルサイユのばら」「花より男子」「ルパン3世」「相棒」と観ていって、たまたま「銀河英雄伝説」があったので、観ていた。すると「面白い!!」。
作者もこれほど人気になるとは思ってなかったようで、早々と打ち切りをほのめかされたのか、初期の段階で重要キャラが一人死ぬ。しかし、それがあるからこそ、文庫本10巻分ではなく、重要キャラの死までを宝塚は舞台化したのだ。そしてそのおかげで、私も読む気になった。銀河系を舞台に、銀河統一を目指す帝国軍と、反体制側の同盟との戦い。しかし、帝国内部でも(同盟内部でも)権力闘争は激しい。その中で若くして力をつけたラインハルト・フォン・ローエングラム、その側近で親友のキルヒアイス、同盟側の天才的参謀ヤンを中心に、裏切り、友情、権力闘争、第三勢力、そして怪しげな宗教とぐいぐい引き込まれる。読み終えたらすぐ、次の巻が読みたくなる作品である。

④夢から醒めた夢 赤川次郎

最後は推理作家赤川次郎の児童文学のようなSF作品。ピコはお化け屋敷が大好きな、やさしい女の子。お化け屋敷で本物の幽霊と出会い、「一日幽霊」の制度を使って、「霊界空港」へやって来た。ここから「天国行」と「地獄行」の飛行機が出ているらしい。でもピコ。ここから戻れなかったらどうするの?
この作品をもとにした「劇団四季」のミュージカルバージョンが素晴らしく、私はそれをもとにして、文化祭のクラス演劇で、私のクラスで上演した。誰に気兼ねすることなく、思いっきりシナリオに手を入れましたよ。

どうですか?手に取って読んでみよう、と思える本はありましたか?本屋でみつからなかったら、上手に図書館を利用しよう。良い本に出会って、充実した日々を送ってくださいね。

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