
こんにちは。
国語を教えております新井といいます。
「知は力なり(Knowledge is Power)」という言葉があります。いまから400年ほど前にイギリスの哲学者であるフランシス・ベーコンによる言葉だとされています。物事について知ること、知っていることは物理的な力に等しく、それだけ周囲に影響を与えることができるのだ――そういう意味で発せられた言葉であるといわれます。
私は授業の時に、よくこの言葉を引き合いに出します。生徒のみなさんはもちろん「勉強しなさい」という意味でとらえるでしょう。それも間違いではありません。けれども、この言葉、なかなか味わい深い言葉です。〝Knowledge〟という語には「知識」という意味はあります。しかし、辞書を引いてみればわかるのですが、「知ること」「知っていること」にはじまり、「認識」、「情報」、「熟知」、「精通」、「学識」、「見聞」、「学問」…くらいの意味を含んでいます。いずれも「言葉として表されたこと」という共通項を持っている言葉です。
「言葉として表されたこと」は「力」なり、本当でしょうか。
私はしばしば授業のなかで「間違ったことの振り返りも大事です。けれども答えが合っていたもの、うまくいったことの振り返りのほうがよほど大事ですよ。」といいます。たしかに答えが合っていた時に、私たちはわざわざ見直しをしません。「うん、できているから大丈夫」と考えがちです。しかし、「なぜうまくいったのか」を考えることは大事です。考えて気づいたことを言葉に表しておくことは大事です。なぜなら、「こうやってうまくいった」ということがわかったのであれば、明日から同じことを繰り返せばよいのです。
ただ、私たちは忘れます。だから言葉に表しておくことは大事です。言葉を文字で表すことができれば、相当長い間手もとに「気づき」が残ります。人に伝えること、あるいは人に教えることも意味のあることです。聞いた人はあなたに感心したり、感謝したりします。その経験が「気づき」を経験にまで磨き上げます。そうして磨き上げられたものが、じつは「知」なのです。「知」はあなたの手もとに残ります。あなたの手元に残った「知」は、あなたの行いを少しずつ変えていきます。「こういう時にはどうしたらいいか」がわかるわけですから、体が動くでしょう。さらに、「知」を伝えられた人を変えることもしばしばあります。「知」は人と分かち合うことができます。
「知は力なり」――私は美しい言葉だと思います。知ることであなたが変わります。そして変わったあなたに触れて、あなたのまわりの人たちも変わるかもしれない。この夏、新しい「知」に一つでも多く触れる機会を持つことができればいいですね。その出会いがあなたの、みんなのこれからを切りひらきます。




